扉を開けるて相方に声をかける。 「準備できた?まだ時間はあるけど」 「ええ、大体は。しかし、この衣装には色々考えさせられるものがあるね。」 「そう?感慨深いとかじゃなくて考えさせられるんですか?」 「まぁね。しっかし流石はあたし。もとがいいから良く似合うわ」 そんなことを言っている相方だったがその衣装は実際、似合っていた 今まで見た中で三本の指に入る綺麗な姿だった。 ウェディングドレスを着た相方。タキシードを着た私。私達は今日、教会で式を挙げる。 <永遠の愛、これ日々精進> 「で、ナニを考えたんです?」 少し相方の姿をみるのが妙に照れ臭くて、隠すように話を振る 「うーんとね。ウェデイングドレスの色についてのこーさつ。」 「どんな考察?」 「ほらウェディングドレスが純白なのって、無垢っていう意味もあるけどそれ以上に 貴方色に私は染まりますっていう意味がある見たいじゃない」 「まぁ、元々はそうみたいですね。」 どこかで聞いたことがあったので同意する 「でしょ?で、今日、貴方が着ているタキシードの色は黒。この意味を考えてたのよ。」 「あいかわらず取り留めのないこと考えますねぇ」 「まぁそれが私だし。で意味を考えたんだけど「お前を俺色にどす黒く染めてやるぜ」とかかなぁ?って」 ……こういう人だとはわかっているんだが時々着いていけなくなる 「……いや、もっと別の解釈もあるでしょ?例えば何ものにも染まらない強さとか。 大体、白のタキシードの立場は?」 「いやいや。おとーこは狼なのよ、気をつけなさいって言うし。そんなものより下心かなって。 白のタキシードについても考えたよ?ちゃんと」 …… 「期待せずに聞きましょうか」 「うー……」 えらく不満げのご様子 「いいからさっさと言いなさい」 「はいはい。えっとね、たぶんどちらが先に相手の白さを自分好みの色に染めるのかの勝負だと思う。」 「…………なんですか?それは」 「支配と服従ーの論理ー。主導権争いー」 明るく言うな。そんなこと 「ええっと……僕らあと一時間もすれば変わらぬ愛とやらを誓うんですよね?」 せめて夢見させておくれ 「そだよ?でもあの誓いって建前だけどね」 言葉のデッドボール一号。私の飴細工のような夢にクリーンヒット。 「アンタ、私のこと愛してるんじゃないんですか?何でそんなこというんです?」 「ウン、愛してるよ。今までの誰よりも。でも永遠に変わらぬ愛なんてないじゃん。離婚率じょーしょーちゅうー」 「いや、それはそうですけど……それは花嫁さんが言うべき台詞ではないかと」 「んー、でも神父さんとかもわかってて誓わせてるし、いいんじゃないの?」 「はぁ、何でめでたい日にそげなことを貴方は言うんでしょうかねえ?」 「まぁ性分だからね。でもね、変わらぬ愛はなくても、永遠の愛はあるかもしれないよ? 少なくとも私は信じてるから」 「どういうことです?」 「あのね、生きるってことは変化するってことでもあるから。愛だって変わる。 でもそれがさめてくほうじゃなくて……」 いきなり言葉を切る相方。不振に思うといきなり口付けされた……慣れてるといえど……良い…… 「もっともっと好きになっていけばいいんだよ。もっともっと相手を愛するようになればね? 昨日の貴方より明日の貴方が好き。明日の貴方よりあさっての貴方を愛してる。そんな二人ならね でもそれにはお互いの毎日の努力が必要だから。頑張ってね。旦・那・様」 「永遠の愛は日々の精進ですか……頑張りましょうか……ってアナタは?」 「あたし?あたしには必要ないよ。いまだってずっとそうだもん。毎日、貴方に恋してるから」 普通に照れる。こういうこと恥ずかしげもなく言えるのはすごいと思う。 ……そろそろ入場時間のようだ。照れてるのを極力表情に出さないように相方にいう。 「それじゃ、そろそろいきましょうか、花嫁さん。これからの愛を誓いに」 「あたし達の幸せを誓いにね」 私も貴方に毎日、恋をしているということは照れ臭くていえないんですが、せめて行動で示せるように 日々精進してみます。そんなことを思いながら、歩いていく。とりあえずの大きな幸せがもうすぐ そこまで待っている…… あんえぴろーぐ …………………… 「……やめるときも健やかなる時も汝、変わらぬ愛を誓いますか?」 「いいえ」 「変わらぬ愛じゃなくって、日々、増していく愛ですから」 END-